Special Interview

子宮頸がんの予防に、ワクチンを

参議院議員 三原じゅん子さん

三原じゅん子さんは国会議員になる前から、がんの仲間たちと共に「子宮頸がん予防ワクチンの無料化」運動に取り組んできました。ワクチンは子宮頸がんをひき起こすウイルスの感染を予防し、女性の子宮頸がんを減らすことができると期待されています。厚生労働省も接種無料化に補正予算をつけ、2011年3月現在、全額公費での無料接種が一部の地域で始まりました。手ごたえを感じていた三原さんですが、新たに見えてきた課題とは…。三原さんに、子宮頸がんワクチン普及活動についてお話をうかがいました。

“いのちの格差”をなくしたい

国会議員になる前、三原さんはどのような思いで子宮頸がん予防ワクチンの無料化を訴えておられたのでしょうか。

三原議員:日本では毎年1万5000人の女性が子宮頸がんとなり、3500人以上が亡くなっています。11~14歳の女性への定期接種が実現したら、7割の子宮頸がんを予防できるといわれています。20~30代の女性に多い子宮頸がんを予防できるなら一刻も早く、という思いがありました。有料か無料かでワクチンを接種するかどうかが決まってしまう。それは、いのちの格差がひろがることだと思うと、耐えられませんでした。子宮頸がんの仲間たちと、ワクチンの公費助成をしてもらえるよう、自治体に直談判してまわりました。ところが、今度は住まいのある自治体の公費助成のあるなしでワクチン接種をするかどうかを決める家庭が多く、それが新たないのちの格差になっていると気づかされたのです。自治体の経済事情も苦しく、やりたいけど難しい、というところも少なくありませんでした。自治体の公費助成に限界を感じ、がんの仲間たちとともに「国の補助でなんとかしないとだめだね」と話すようになりました。「じゃあ三原さん、国会議員になってよ」と言われたのです。聞き流せませんでした。がんの仲間たちに背中を押されて、がんばってみようと。選挙では「国費による子宮頸がんのワクチン無料化」だけを言いつづけて戦いました。


子宮頸がん患者だとカミングアウトしてよかった

ワクチン無料化の活動を通じて、子宮頸がんの新たな課題が見えてきたそうですが。

三原議員:子宮頸がんに対する偏見や差別で苦しむ患者さんが本当に多いことに気づいたのです。特に地方で、「子宮頸がんを人に知られたら、この村では生きていけない」とか「子どもに知られたくない」という声をたくさん聞きました。いのちにかかわる病気なのに、人に知られるのがこわくて治療できないという女性もいました。子宮頸がんは、ウイルス感染が原因で起こるため、男性経験が多いから病気になったという偏見や差別に苦しむ女性がとても多いのです。でも、子宮頸がんの原因ウイルスであるHPVは、女性のほとんどが一生のうちに感染する可能性があるごく一般的なもの。つまり、子宮頸がんにかかるリスクは誰にでもあります。偏見や差別が大きなまちがいであることを、皆さんに知っていただきたいのです。こうした偏見や差別に打ち勝つには、子宮頸がんという言葉をよく知ってもらうことが早道の1つ。私自身の子宮頸がんをカミングアウトしたことは、大きな意味を持っていたのだと実感しました。


子宮頸がん予防ワクチンにもっと理解を

ようやく国も動きだし、ワクチン接種無料化が始まりました。

三原議員:でも、ワクチンの無料化が実現したのにもかかわらず、接種率が上がらない地域も出てきています。親や教育者のワクチンに対する理解がひろがっていないのです。接種率を上げるためにも、啓発活動にさらに力を入れなければなりません。いま、接種率を上げなければ、将来、子宮頸がんで亡くなる女性を減らすことができません。子宮頸がんはワクチンで予防ができる病気です。英国では、ワクチン接種によって、見事に子宮頸がんの死亡率が下がっています。日本も、一日も早くそういう状況を迎えなければならないと思うのです。(2011年2月16日 参議院議員会館にてインタビュー)


参議院議員 三原じゅん子さん プロフィール
1964年、東京都に生まれる。1972年、東京宝映テレビ・劇団フジに入団。1979年、「3年B組金八先生」に出演し、「つっぱり」のイメージで人気が急上昇した。1980年、歌手デビュー。デビューシングル「セクシー・ナイト」は売り上げ55万枚を超えるヒットとなり、1982年には第33回NHK紅白歌合戦に出場、紅組トップバッターを務めた。JUNKOというアーティスト名でハードロックのバンドを組んでいた時期もある。1985年から1999年にかけてはレーシングドライバーとしても活動。その後はライブ活動の傍ら、バラエティ、女優業にと活動した。2008年、子宮頸がんを患い子宮を摘出したが、リハビリを経て復帰した。この経験もあり、医療や介護問題への関心を強め、がん撲滅等の啓発活動を行うようになった。2010年3月には自ら介護施設の経営に乗り出す。第22回参議院議員通常選挙に自民党から出馬し、当選を果たす。自民党「子宮頸がん予防ワクチンに関するプロジェクトチーム」の副主査を務める。参議院議員 三原じゅん子 オフィシャルホームページ
http://www.miharajunco.org/

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がん生活へのヒント
  • 引き続き、国会議員としての想いと、がん患者の就労支援法についてお話をうかがいました。
    がん患者が働きつづけられる制度をつくりたい

    がんコンシェル編集部